2世帯住宅の注意点とワンポイントアドバイス

~家づくりの計画段階における主なチェックポイント~

当事務所が設計監理を行ってきた住宅の3~4割が、2世帯住宅や3世帯住宅です。
また、実際に手がけた実例以外にも、住宅相談やセカンドオピニオンサービスを通じて
多世帯で暮らす住まいに関して、さまざまなご相談を受けてきました。
(地方都市でのお話に関してはメールでのご相談がほとんどですが...)

また私(中川)自身も20年程前に親世帯と暮らす為の2世帯住宅を建てました。

そこでの生活や家族の関係性等もふまえて、これから2世帯住宅を計画
されようとしている方々に、少しでもアドバイスができればと思っています。



【2世帯住宅】

2世帯住宅は、もともとは日本の伝統的な住まい方でした。
しかし、若い世代の意識の変化や社会環境の変化といったさまざまな要因により核家族化が進み、
これが一般的な住まい方として定着したのも確かです。

おそらく、バブル以降にこの核家族化の傾向や住まいに対する考え方に変化が出てきたのではないかと考えていますが、
ここ10年程、2世帯住宅のニーズが非常に高まったように思います。

その理由や主なメリットとしては、
・安心感:老後に対する安心、親が近くにいることでの安心
・子育て支援:子供を預けることができるというメリット、共働き家族の支援
・経済的な理由:持ち家の取得難、光熱費や税金面、他
ということが挙げられ、これらは2世帯住宅に対するニーズの最も大きなものと考えられます。

しかし、一方では親子とはいえ複数の世帯が同じ家に暮らすことによる気づかいや気兼ね、
過干渉といったことから、せっかくの計画が思ったようにいかないことも多いようです。

そこでこれまでの経験から、2世帯住宅の計画にあたっての
留意点や解決案などに関して以下に記させて頂きます。



【企画段階 ~家族の関係性~】

2世帯住宅は、文字通り異なる世帯がひとつの敷地内、屋根の下に暮らすものです。

 戸建て住宅にあっても、そこに住む人の中での意見や趣向の違いはありますが、たいがいの場合には
夫婦間で、場合によって設計者がアドバイザーとして加わること等で解決します。

しかし、これが異なる世帯同士となると、家づくりに加わる方の人数は増え、親族とはいえども
異なる世代であり、異なる生活スタイルや意見を持たれた方が加わることになりますし、
費用の負担に関連することも重なりますので皆の意見を集約させて、方向性を定めるのは極端に難しくなってきます。

家族の皆さんが、家づくりに対して基本的に同じ方向性を見いだしている場合には
特に問題なく、スムーズに家づくりが進みます。

しかし、家族の中のひとりだけが特に主導権を持っていて、他の人と意見が異なったり、
他の人があまり口をはさめないような場合、或いは、家族の中でひとりだけが
自分の意見を言う場が少ない場合等は家づくりがスムーズに運ばなくなったり、
場合によっては家ができた後になってからもめてしまう大きな要因になります。
計画段階で、2世帯住宅の話が家族間で成立しなかったというケースも多々あります。



そこで提案したいのが 調整役をつくる ということです。
(別ページに2世帯住宅のクレーム例を掲載しています)

「それぞれの意見や希望をまとめること」

住まいをつくるにあたっては、敷地条件やコスト、工期などさまざま制約の中で考える必要がありますが、
これらをふまえながら、家づくりの基本的な方向性を決めることは、計画にあたっての第1段階です。
この第1段階を明確にせずに、いきなり具体的な計画を進めることは是非避けるべきものと考えています。

また、これは非常に重要なことですが、
「お互いの世帯の行き来やそれぞれの世帯に対する干渉といった面において、それぞれが節度を持てるか否か」
「義理とか経済性だけで住まいの計画を進める」
ということは、計画の開始段階において最も注意すべきことと考えます。

仮に、玄関を含めて完全に分離された家にしても、生活上の過度の干渉の有無
といったことは、建築的な配慮だけでは解決のできない場合があります。

住まいが生活上のストレスになってしまう

このようなことだけは、何としても避けなければならないことです。



【建築計画】

前述した第1段階(企画)においても、ある程度は建築計画を考慮する必要がありますが、
2世帯住宅への方向性が定まれば、いよいよ具体的な建築計画を検討することになります。

そこで、2世帯住宅の基本構成について、
「ほとんど同居型」、「部分分離型」、「分離型」
というタイプ別にそのメリット、デメリットをご説明させて頂きます。

 2世帯住宅の基本構成 - タイプ別

 


 

【その他 - 名義、融資、税金】

親しい仲だからこそ、お金のトラブルは避けたいものです。

2世帯住宅の計画あたっては、
名義やローン、税金対策
といったことも、あらかじめ知識としてお持ち頂くことをお勧めします。