内外装の素材

私が手がける住宅では、基本的にはサイディングやビニールクロス、塩ビ系タイルといった、いわゆる石油化学製品は用いず、主に塗り壁や木を主体とした素材を用いるようにしています。

近年、シックハウス問題や環境問題から、「健康住宅」「自然素材」が様々な住宅や建材のうたい文句のひとつにまでなっています。
しかし、生産過程や成分を含め、本当の意味で自然や人にやさしいものはまだまだ少ないのが現実です。

たとえば、仕上材ではありませんが、近年注目されている設備として太陽光発電設備があります。
確かに、使う側としては電気代は安くなりますし、環境にやさしいものといえるものです。
しかし、まず、設置にあたっては乗用車1台分近くの費用がかかります。
そして、この電池類を生産するにあたっての環境負荷を、1件の家が何十年使用すればプラスマイナスゼロになるかを試算をした上で、環境にやさしいと言えるメーカーは未だ知りません。

話がそれましたが、自然素材は決して特別なものではなく、昔ながらの漆喰や土壁、木や紙張りといったものは、まさに自然素材です。

仕上げ材に限らず、近年の、早い、安い、簡単という家づくり、新建材の寄せ集めによる家づくりではなく、できるだけホンモノの素材、手のぬくもりの残る素材による家を、ローコストに、あたりまえに提供できる家づくりをしたいものです。
これが私の家づくりにおいてめざすところでもあり、社会への希望のひとつです。


外壁の一例:櫛引き仕上 


室内壁の一例:木ごて+金ごて仕上