セカンドオピニオン(改善プラン提案コース)実例-1

常盤台の家(共有型2世帯住宅)

この家は「ほとんど共有型」の2世帯住宅の計画です。

上の図面は建て主さんから頂いた図面です。
施工会社を先に決めている中で、担当者と打合せを重ねてきたというものです。

建て主の方の基本的なご希望は主に以下のようなことでした。

・住宅密集地であっても「明るい家」
・2階の子供の様子が下階で感じることができる家
・リビング内階段
・明るいキッチン
・家族6人の為のできるだけ広いリビング、他

これらのご要望に対して、原案は以下のように考えられるものでした。

・明るい家:
2階の南面は水回り、クロゼット、吹き抜けで占有されている。

・2階の子供の様子がわかるような家:
1階と2階とをつなぐ吹き抜けや階段がその役割を果たしてもらいたいところですが、
今回提示頂いたプランでは、吹き抜けも階段もその役割を果たしていないと思われました。

・リビング階段:
玄関脇に独立して設けられているものでした。

・明るいキッチン:
南面とはいえ、家(敷地)の中では暗い位置に配されたものでした。
リビングダイニングに小さな吹き抜けがあるものの、この敷地の採光条件に対する解決となる吹き抜けとはなっていないものと思われました。

・リビング、他:
お子様の成長を考えると家族6人が過ごすことになるリビングダイニングが9帖というのは、あまりに手狭に感じるものでした。
その一方で、玄関や2階の踊り場付近が広く、リビング等の生活の場とのバランスの悪いのは、非常に気になるものでした。

以上のような点を問題点としてとらえ、その改善案として提示したのが以下の案です。

 



<A-1案>

<A-2案>
<B-1案>
<B-2案>

<C案>
A案とB案は、原案をベースに案の改善をはかったものです。

C案はこちらが設計を依頼された場合、打合せ初期のたたき台として提示するとどのような案とするかという観点で検討した案です
(全ての居室を南面させた案)。

 

今回の提案の後しばらくしてから、建て主さんよりご連絡を頂きました。
C案が気に入り、施工会社と話を進めることにしたとの事でした。

その時のメール文をそのままご紹介させて頂きます。
(ご参考まで)

その節は大変お忙しい中お世話になり有難うございました。
お礼とご報告が遅くなって申し訳ございませんでしたが、先週から家の解体が始まり、来週には地鎮祭が行われるというところまで進んできております。

藁をもすがる思いで中川さんの元を訪れた時から考えるとようやくここまで来たな~という思いでおります。
結局中川さんに提示して頂いた案の中から主人が気に入ったC案を採用させて頂きました。
部分的に少し変更しましたが、ほとんどそのままの間取りです。
細かい部分はこれから決めるところが大部分ですので、どうなるのかまだまだ不安は消えないというのが正直な心境ですが、
中川さんのおかげで少しでも自分達の納得のいくものに近づけたことは間違いのないことですので、本当に感謝しております。

自分だけではどうにもならなくて、私もいろいろ探しましたがなかなか思うようなところが見つからず焦っていました。
そういうときに中川さんの様な方がいてくださると本当にありがたいです。

自分の設計は最後までやり抜きたいという思いの建築家の方が多いのは当たり前だと思います。
ただ、その時に中川さんの事務所は案だけでも、という門を開いていてくださり本当に助かりました。

これから一生暮らす家なのに後悔ばかりが残っては本当に辛い家になってしまうところでした。

家造りという人生でも最も大きな出来事を、本来ならば、自分の思った通りに楽しみながら出来ればこんなに幸せなことはないのですが、
私たちのようにそうもいかない人が他にもいると思います。

私も本当は信頼できる建築家の方に依頼したかったのですがその希望はかないませんでした。

そういう方の為にもこれからも手を差し伸べていただけたらきっと助かる方がたくさんいらっしゃると思います。