セカンドオピニオン(改善プラン提案コース)実例-3

静岡の家1(お母様と暮らす家)

この家は静岡県郊外におけるお母様と暮らす家の計画です。

上の図面は建て主さんから頂いた原案です。

進めている計画案が、ご自身(建て主さん)の意図は反映しているものの自信がないこと、不安なことも多いと感じられてこちらでのプランの見直し、提案の依頼を頂いたものです。

建て主の方のご要望は基本的には以下のようなことでした。

・南側に大きな擁壁がある敷地であっても「明るい家」
・1階を生活の中心の場とする家
・原案における各室の配置の確認
・原案の基本的な配置は変えない

これらのご要望に対して、原案は以下のように考えられるものでした。

・配置計画:
敷地に対する建物の基本的な位置としては、北側に家を寄せて南側にオープンスペースを設けるといったオーソドックスなものでした。

しかし、建物形状が矩形で全体として南西を向いた家となっていること、既存樹のある南東側のオープンスペースが全く生かされていないことについては気になるものでした。
前者は、特に午前中の日照面、西日対策といった面で不利な点なものです。
後者は、せっかくの余裕のある敷地が生かされていないと思われるものでした。

・平面計画:
1階においては南西を向いたキッチンと西向きのお母様の部屋、玄関ホールに面した水回り、2階においては西向きの洋間と薄暗くなりそうな中廊下が気になるものでした。
特に玄関に面する水回りは、プライバシーの面では非常に気になるもので、階段の位置を含めた見直しが必要と思われました。

また、お母様のスペースをはじめリビング、水回りを1階を主とする住まいとしては、2階のスペースに対して1階のスペースがバランスとして狭い計画と思われました。

プランの基本的な構成としては、凸凹のない矩形(箱型)の形を縦横に区切るもので、いわゆる「田」の字形式のプランです。
日本の民家形式(アパート形式)のプランで、構造上は合理的にしやすいものではありますが、部屋同士の有機的なつながり、オープンスペースを生かした家づくり
といった面ではうまい案、今日的な案ではないと思われるものでした。

以上のような点を問題点としてとらえ、その改善案として提示したのが以下の案です。



【A案】
基本的には原案をベースとして基本方針に基づく改善をはかるべく検討した案です。
主な変更内容としては、
・生活の中心の場の充実させるため、1階を拡張、2階を縮小
・お母様の寝室の陽当たり、庭やリビング廻りとのつながりの改善
・プライバシーの確保のため、玄関と水廻りを独立化させる改善
・1階のお母様の寝室と2階の寝室との間接的なつながりの確保するためのの階段位置変更
・居室の採光条件の改善のための、キッチン位置変更
といったものでした。

【B案】
A案をベースとしてプランの展開をはかった案です。その内容としては、
・リビングとダイニングのスペースの独立性を高めるため、互いのスペースを雁行した関係性に
・外部への広がりと採光の改善のため、南庭と各部屋との関係性を変更、各居室の角部屋化をはかったものです。
【C案】
B案をベースとしてプランの展開をはかった案です。
A案、B案では家の中央部に配していた階段を吹き抜けに面する位置とすることで、
2階の廊下と共に、明るく開放的な吹き抜けと一体化した階段としたものです。


A~C案はいづれも基本的な建物の位置は変えないという条件の中で部屋同士の関係性、室内外の関係性を見直すものとして
原設計案を展開させていく形で検討、提案をしたものです。

案の提出後、建て主さんから
「各室の配置と共に、家の中の動線、収納面で非常に良い案となりました」
とのご連絡を頂きました。